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埼玉の建築スケッチMAP 青山恭之のブログ
作品集works
Tree House

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<土地探しからごいっしょに>
■ JRの駅から徒歩4分。ご主人の通勤の関係から、この沿線の駅から徒歩圏に住まいを求めたこの家族と見つけた土地は、地の利は申し分ないものの、四方を家々に囲まれた、旗竿状の変形狭小地。接道も2mやっとで、 自家用車の敷地内駐車は無理。そんな土地を、この家族は土地の形状が三角頭の樹木のように見えることから「Tree House」と名付け、悪条件を好印象へと転換させて、前向きに住みたいと、設計作業がスタートしました。

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<敷地条件から導かれた、スキップフロア>

■ 周囲から高密度で囲まれているので、1階はほとんど日照を期待できません。そのため、生活の中心となるLDKを2階に上げて、1階は寝室と水まわりや納戸にしようという方向が見えてきました。でも、1階の玄関 から2階のリビングが遠いなどの問題が。そこから、全体の構成を決める一歩になったのは、特に奥様からの、「リビングから洗濯物が見えないように」という一言でした。リビング(二階)のレベルから洗濯物干場を半階 下げる。すなわち、スキップフロアの構成を取り入れ、玄関と洗濯物干し場を1.5階に設定することで、問題は糸口を見つけ、解けていったのです。玄関下はぎりぎり立てるので、家族4人分の自転車置場と、物干しの下に は屋外仕事をする作業場も確保できました。

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<空間を3次元的に使い切る>
■ 変形した敷地に対応するため、52.5度ずれた2系統のグリッドを設定し、さらにイレギュラーないろいろな角度やR(アール)を描いた壁面など、様々な角度を導入して、実際に入る物の寸法や動作空間を納めて行きま した。そんな時、通常の住宅では嫌われる「整形でないもの」を積極的に楽しみ、この住宅にしかない価値として認めていくこの家族の前向きな姿勢が大きな力になり、空間を3次元的に使いきる構成が実現しました。

03

<象徴としての大黒柱>
■ さらに、大黒柱の存在があります。ご家族全員で飯能の山に登り、候補のなかからこの檜を選んで、伐採も体験したのです。皮を剥がされたやや曲りのある裸木を見て、このまま使いたいとおっしゃった時には、この木 に愛着が生まれていたのでしょう。基礎から屋根まで達する長さを確保した余りの先端部分は、玄関脇で帽子掛けに、枝はドアや物入れの取っ手にと生かされました。大黒柱だけでなく、一部の外周壁を除いて真壁造りで、 構造材はあらわしです。さらに壁・天井に檜の合板仕上げを採用して、まさに「Tree House 」になりました。

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<ワンルームでの熱環境>
■ スキップフロアで繋がった空間は、ほとんどワンルームに近いものです。寝室は個室的なしつらえになっていますが、間仕切りは引き戸で、やわらかな分節です。大きなワンルームで、冬、温められた空気は傾斜天井の 最上部に集まるため、その空気を強制的に床下に回すシステムを導入しています。夏は、熱くなった屋根下の空気を棟から北側へ逃がします。

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<単位空間と、余剰空間>

■ 敷地形状から自然に導かれた全体が変形している場合の設計手法として、「単位空間と余剰空間」という考え方を導入しました。ある機能に特化した単位空間(たとえばユニットバスやベッドなど)は矩形の平面なので、それらを周囲に配置し、余った中央部(余剰空間)を、ホールやリビングなどの不整形であることを許容する場にあてるというものです。階段やトイレなども、最低寸法を確保すれば変形しても良しとし、組み込んでいきます。この手法により、狭い空間が、狭いというマイナスではなく、身体寸法にそった親密な行動空間というプラス価値を生むと考えています。

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<完成直後に、3.11を迎えた>
■ 建物が完成し、土日で計画していた見学会直前の金曜日、3月11日に、あの震災が起こりました。 いろいろな角度を持った構造フレームは、あの揺れに耐え、幸い無傷で新しい生活の受け皿になることができました。 そして、ご家族の皆様の関わりによって、現在も変化しつづけている空間です。

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Photo : Yasuyuki Aoyama

 

所在地/埼玉県さいたま市
構造/木造二階建て
竣工/2011年

 

掲載紙

住む。 2013年夏号 家をつくるなら、近くの山の木で44  変形敷地を楽しんでつくる、樹の家。

 

テレビ放送

テレビ朝日系 「渡辺篤史の建もの探訪」 2013年10月18日

 

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断面パース、二階レベルの視点で西を見ています。1階の子ど部屋は、2段ベット風。主寝室もスノコで寝台を上げ、下は収納。上に上がった分、二階の畳コーナーが上がり、その隙間は、風(時には視線)の通り道として活用しています。