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埼玉の建築スケッチMAP 青山恭之のブログ
エッセイessay
ガラス工事の現場-昨今のガラスいろいろ-

 現代の生活では、当たり前のように使われているガラスですが、日本で一般的に住まいに使われ始めて100年余りのうちに、その用途も様々に広がってきています。

 ガラスの起源は紀元前数千年のメソポタミアもしくはエジプトとされており、当時は、王族・貴族等の支配階級が装身具や酒杯等に使う大変貴重なものでした。「窓ガラス」として建物に使われたのは今から約二千年前の古代ローマ時代に始まると言われています。ローマ貴族の別荘地として栄えながら、紀元前79年にベスビオ火山の噴火で滅亡したイタリアのポンペイの「共同浴場」の採光窓に使われていたものがそれです。  日本には紀元一世紀ごろより、シルクロードを経由して装飾品としてのガラスが入ってきたと言われています。飛鳥・奈良時代のころより朝廷の保護のもとに硝子造りが始まり、その後一度途絶えながらも、江戸時代の頃より再度製造が始まりました。

日本で建築分野にガラスが登場したのは、江戸時代の初期に長崎・出島に建てられたオランダ商館の窓ガラスが最初といわれ、元禄年間には伊達綱宗が江戸品川の居宅に板ガラスのはめ込まれた障子を使ったと伝えられています。その後明治の始め頃には、ヨーロッパからの輸入による板ガラスが普及し始め、住まいでのガラスの使用が一般的になってきました。板ガラス製造が工業として本格的に生まれるのは、明治維新になってからですが、失敗成功を繰り返した後、技術革新を進め生産性の向上も図られ現在に至ります。

窓や床・天井に単に明かり取りとして使われるのはもちろんのこと、ステンドグラスとして装飾の一端を担うことも多いガラスでしたが、近年はそれに加え様々な機能を持ったものが開発され、適材適所で正しく選ぶことによって、防犯・防音・省エネに役立てることができます。 透明か不透明かといった基本的な選択から始まり、安全上網入りガラスにするか強化ガラスにするかや、省エネのために複層ガラスを使用するかどうか、合わせガラスにも様々な種類があり、破片が飛散しにくいもの・耐貫通性のあるもの・紫外線を遮蔽するもの・遮音性のあるものなど、目的によって選択肢が変わってきます。

機能が向上するに伴い、当然のこととして予算も上がってきますので、費用対効果を充分に検討しながら、個々の住まい手に合ったものを選ぶのに、設計する立場のものとして、頭を悩ます昨今です。 本音を言うと、単純にガラスの美しさに見とれていることのできた時代の人々のほうが、幸せだった面もあるのではと、この頃の建材の豊富さに、ちょっぴり辟易となっているところです。

 

現場でのガラスの取り付け模様
大きなガラス面で外の景色を取り込みつつも、複層ガラスによって、かなりの熱損失が防げます。

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東京目白・自由学園のガラスのトップライト
窓ガラスはもちろんのこと、家具や照明器具など建物全体のあらゆるものに共通してみられるデザインです。

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ステンドグラス
愛媛県美術館分館(旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨伯爵が大正11年に別邸として建設したもの)の階段室踊り場のステンドグラスで、当時ハワイへ特注してつくられたもの。大海原が、ダイナミックに描かれています。

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