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埼玉の建築スケッチMAP 青山恭之のブログ
設計への想いconcept

「こんな家に住んで欲しい」

あなたが今住んでいる家は、生まれた時からずっと住んでいる家ですか?
それとも、誰かに勧められて住むようになった家ですか?
それとも、自分であれこれ悩んで買ったり、つくったりした家ですか?

昔の民家では、その地方それぞれの気候風土や慣習に従い、住まいの型だけではなく、家族の形態までも、ある程度の決まりを持ち、その範囲の中で、住み手が多少ながら工夫をこらして、生活を送っていました。

昨今では、同じ家に生涯住み続けるケースは、なかなか少ないことだと思います。昔とはまた違った様々な制約の中で、自分の身を置く<空間>を、どこまでこだわってしつらえていくことができるかは、とりもなおさず、住み手がいかにそのことを考える(思う)時間を持つことができるかによると思います。

あふれる情報の中で<住まい>を考える時、あなたにとって真に必要なことは何でしょうか。
それぞれの家族や環境にとって最適な<住まい>のあり方を、ともに探り、創造していくことが、私達の願いです。


人を、誘い込む・招き入れる

街との関わりを閉ざした家は、冷たく、よそよそしいものです。家は街のなかにある以上、どんなに無口に閉ざそうとしても、「ある」というだけで存在を語ってしまうものです。
また、饒舌に語りすぎても、街からすればうるさいと感じられるでしょう。それぞれの街にはそれぞれの街の雰囲気が通奏低音のように流れていて、そこに建つ家々が景観を奏でていきます。ですから、新しい家を街の中に参加させるには、デザインに慎重にならざるを得ません。全国津々浦々に建つ事を目的にデザインされた家では、たとえ門や塀をアレンジしたところで、その街のその場所の持つ空間の特性に水をさす結果になってしまうのです。家が街に対して、場所の特性を生かしたしっかりとした在り方を示す事で、相互の空間が活性化されるのだと思います。

家と街の交感の場を用意するのが建築です。その場が豊かにデザインされていれば、その事に誘発されて、人と人との交感も豊かになるでしょう。人の生活の豊かさが家を越えて滲み出してきて初めて、街が豊かになるといえるでしょう。

竣工直後で、道路との境に植えたヤマボウシは、まだ葉をつけていません。二棟の建物を繋ぐオープンビームとブリッジ、スチールフラットバーのフェンスが門の機能を示していますが、視線も風も素通しです。ここでは、敷地の内側対街路という対立をなるべくやわらげ、相互が浸透し合うことを目指しました。



場のつながりを、しつらえる

「街と家」から始まって、場のつながりは、「家と部屋」、「部屋と部屋」へと親密度を増していきます。「場のつながりをしつらえる」というは、生活の座標を与えるということです。私たちは、そのしつらえは出来るだけ多様でフレキシブルなほうがいいと考えています。もちろんそれは平面(間取り)としてだけではなく、三次元的な構成として計画される必要があります。下に示した3つの住宅の断面透視図では、フキヌケ空間を介して、それぞれの場(部屋)が、立体的に関係し合っていることが示されています。

富士山麓の萬壽山荘

右から左(南から北)へと下る斜面の流れに合わせるように、「二層の部分」、「一層で屋根が低くなっていく部分」、「低いパーゴラによって高さを抑えられたテラス」の三つの部分のつながりが構成されています。相互の部分のつながりを強めるために、建具は完全に引き込めるのように設計しました。


烏山の家

おおきなワンルームのようなひと繋がりの空間がまずあって、そのなかをやわらかく仕切っていき、機能に対応したいくつかの部分(部屋)が発生してくるような計画です。中央のフキヌケは最後に残った部分(部屋にならずにすんだアキ)、といった消極的な存在なのですが、逆に部屋相互を関係づけるかなめでもあります。ここでも、引き戸(特に吊戸)が多様されたり、部屋と部屋相互や、部屋と階段室との間にも窓を設けたりなど、多様なつながりが用意されています。


和光の家

ほとんどワンルームのようなこの住宅にも、平面の中心にフキヌケがあります。寝室的用途の二階と、少しパブリックな度合いが高い一階とをやわらかく繋いでいます。一人住まいなのですが、お客様がみえたり、少し仕切って使いたいなどの非日常に対応する間仕切りが用意されています。



素材を、選ぶ・使いこなす

ファイバーグレーチング

合成樹脂をガラス繊維で強化して成型された、軽量で強靭なグレーチング、床材にはもちろんのこと、間仕切り・天井日除け階段・バルコニー・ドア等様々な使い方ができる。

バルコニーの床、手摺、貯水槽等の目隠し、ドアとしてファイバーグレーチングを使用。


ポリカーボネイト中空複層パネル

中に空気層をもつ2層に一体成形したポリカーボネートの板ですが、間に空気層をとり、二層に一体成型されています。この空気層が、断熱の働きをします。ポリカーボ自体にも、透明・乳半などの種類があり、可視性をコントロールすることができます。構造的にも自立するので大きな面としても扱え、天井までの建具などに重宝しています。

(上)正面に見えるのがポリカーボネイト中空複層パネルの框戸。視線を柔らかくさえぎる間仕切り

(中)階段下にあるトイレでの使用例。階段のけ込み板にこのパネルを使うと、昼間はトイレの採光に役立つ。

(下)階段室にトイレの明かりがもれて常夜灯としても使える


太鼓張り障子

一般の障子のように片面だけというものではなく、両面に紙を張ることにより、断熱性を高めたもの。

(上)廊下を挟んで屋外に面する左手は太鼓張りの障子、室内に面する右手はポリカーボネイト中空複層パネルの框戸。

(中)中庭に面しては開口部が多く、断熱性を高めるために、太鼓張りの障子を使用。

(下)昼間は白い面に見えるが、夜間は光を通して障子の桟が浮かび上がる。時間により、表情が変化する建具。


透光性断熱板

発泡プラスチック系の透光性のある断熱板で、住宅開口部用に開発されたもの。紙より強く、変色しにくい。

(上)予備室との間仕切りの建具(右端に見えているものが、スライドして出てくる)にも透光性断熱板を組み込み、空間を柔らかく仕切る。

(下)簾戸をはずしてすべて障子になったところ。透光性断熱板は、ガラス部分からの熱の逃げを防ぐ。


簾戸

本建具の面材として簾を組み込んだもので、夏季の涼を呼ぶ。

西側の道路からの視線や陽射しをさえぎりつつ、風を通す簾戸。目にも涼しげ


スチールグレーチング

(上)玄関上部の床材料として使用

(下)上部のサンルームに入ってきた光や風を、一階部分に有効に送り込む