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埼玉の建築スケッチMAP 青山恭之のブログ
コラムcolumn
「浦和宿 たてもの30」展

2017年9~10月

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 6月中旬、神楽坂建築塾でお付き合いさせていただいている建築家齊藤祐子さんから、浦和で展覧会をしたいので手伝ってほしいと声をかけていただきました。浦和宿の古い建物が軒並み無くなっていくので、少なくともスケッチで記憶しておくような展覧会をしたい。とりあえず建物を30選んであって、会場は裏門通りの「コバルト画房」をおさえてあるので、青山さんのスケッチをお借りできれば・・・という内容でした。喜んでお手伝いしましょう、フットワークは良くないのですが、というのが、事の始まり。


 齊藤さんの声かけで集まった主要メンバーは、まちづくり工房代表の阿武信夫さん、浦和宿けやきの会の原田紀子さん。打ち合わせをしてみると、メンバーそれぞれの関係から、コバルト展だけでなく、岸町公民館や楽風でも展示の機会をいただけることになってきました。齊藤さんと僕、磯崎正幸さんの三人がスケッチを展示する方向は決まったのですが、それらのインデックスに、地図があったほうがいいという意見が。そこで僕が提案したのは、2008年に県立近代美術館で浦和宿の展示を行ったときの航空写真です。

 

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 これは、A2パネル7枚に、Google Earthの中山道浦和宿の航空写真をプリントして平面に並べ、その周りに建築やスポット61か所を写真と解説で紹介したものです。2008年の展示の後、一度コムナーレでもお披露目したものですが、そのまま眠っていたので、引っ張り出してくることにしました。この展示の時、知人のTさんから、「写真じゃなくてスケッチならもっとよかった」と言われていたので、そのリベンジとでもいいましょうか・・・。(2008年は、中山道の浦和橋から17号と交わる六辻交叉点までをA2の7枚で展示しましたが、今回は「たてもの30」の分布範囲に合わせ、浦和橋から白幡交叉点までの5枚としました)。


 展覧会へ向けて準備をするうちに、原田さんが関わってきた常盤地区の中山道セットバック問題、特に古要邸の保存が差し迫った問題として浮上。我々全体としてその問題に取り組む流れになって、市の「コミュニティ課」に相談に行き、さらに後日「まちづくり総務課」で、まちづくり専門家派遣制度を知ってそこに手がかりを求めることになりました。9月に入って専門家とのミーティンは実現しましたが、そんなにすぐにアイデアが出るはずもなく、この議論は先送りになったままで、具体的な展示の作業に入っていきました。

 

9月26日~10月1日 コバルト画房
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 この展覧会は、朝日新聞に紹介されたこともあって、多くの方々に見ていただくことができました。この記事の最初の画像が、メインの展示です。やはりオリジナルのスケッチは力があります。磯崎さんのスケッチはサイズが大きくて迫力があるのですが、絵葉書サイズのものがちょっと見にくくて残念でした。この他に、関連団体の活動紹介のパネルや、関連書籍などが展示され、訪れた人々はゆっくり時間を過ごしていただけたようです。齊藤さんによる案内の文書も、ここに載せておきます。
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 そして、イベントも用意されました。9月30日の土曜日、まずは「街歩き」。高松敬さんのガイドで、たてもの30全ては無理でしたが、古要邸もふくめて主要な建物を見て回りました。

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夕方からは「ギャラリートーク」が開かれ、一般参加の方々も含め、貴重な意見交換ができました。

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 会期中、いわゆる「まちネタ」を自由に書いていただける壁面も用意しました。たてもの30に選ばれていた一群の建物の一部が取り壊されたという残念な記事も見られました。

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10月13~15日 岸町公民館 「岸町地区文化祭」
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 まちづくり工房代表の阿武信夫さんは岸町七丁目自治会会長で、僕は1998年の調神社をめぐる街づくりのワークショップでご一緒したことがあります。彼が岸町公民館の運営委員をされている関係もあって、公民館最大のイベントである「岸町地区文化祭」でも、この「たてもの30」を紹介することになりました。ただ、不特定多数の人々に開かれた文化祭なので、画廊のようにオリジナルのスケッチの展示は無理があり、そこでの展示にはひと手間かける必要がありました。この展示から次の楽風での展示まで中三日しかないので、楽風展でも使えるレイアウトを考えました。スケッチは、葉書サイズだったものも含めてすべてA4サイズにプリントして使い、航空写真の周りに配置したのです。廊下の壁面だったので通過する人々の目にも入って、結果的には、多くの人の目に触れたことになったようです。

 

10月19~24日 楽風「PALS楽風展2017」
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 楽風での「PALS楽風展2017」は、アトリエ・リングも参加する建築家集団による隔年の展覧会です。建築家が作品を紹介するだけでなく、街に関わる活動をしていることに光をあてるのも大事と考えて、ここでも「たてもの30」を展示しました。岸町公民館の廊下では、スチールの壁面に磁石でパネルやプリントを固定させたのですが、楽風ではそうはいかず、3×6の段ボール2枚にレイアウトして、それを廊下の壁面に吊る形式にしました。


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 この廊下以外にもうひとつ、「たてもの30」に与えられた場所が、床の間でした。ここは、今までの流れなら関連団体の活動報告なのでしょうが、岸町公民館の展示が終了した次の日に、たてもの30に選ばれている鈴木写真館の解体が伝えられたので、鈴木写真館の特集とすることに。スケッチと、「埼玉の建築スケッチ」の新聞記事、もう撮れない写真の数々を展示しました。
 浦和宿の貴重な建物を多くの人に知ってもらおうと、議論をし、このような展覧会に関わっている間に、建物はあっけなく消えていってしまう。それは、とてもやりきれない気持ちになるものですが、とりあえずは地道にやっていくしかないのでしょう。

 

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 最後に、今回の展覧会を通して配布した「浦和宿 たてもの30」のリストを載せておきます。クリックでPDFファイルが開きます。これがこの先、成長していくといいなと思っています。(文・写真;青山恭之)